社会課題

大規模言語モデルを用いたクマ類による人身被害予測

本研究では、大規模言語モデルを用いて、クマとの遭遇状況からクマによる人的被害の程度を予測する手法を提案する。遭遇時の状況として、クマと遭遇した日時、場所、被害者の性別、年齢、人数などを利用する。また、クマによる襲撃に関する過去の知見をテキスト化する。人的被害として、死亡、重傷、軽傷など複数のラベルを考慮する。このようなラベリングされた遭遇状況を学習データとして、日本語BERTのファインチューニングを行った。2021年から2023年にかけて北海道と本州の一部地域で発生したクマによる人的被害データを用いて、提案手法を評価した。その結果,提案手法は機械学習手法に比べて精度が向上することを確認した.

LLMを用いた遭難時の被害状況推定

本研究では、大規模自然言語モデルを用いて遭難発生時の連絡を受けた際にわかる状況から最終的に判明する被害の状況を予測する手法を提案する。遭難の状況として、日時・天候・山域・山名・住居・性別・年齢・態様・パーティ人数・遭難の状況を結合したテキストデータを準備する。ラベルとして、死亡あるいは生存の2つのラベルを準備する。ラベル付きの遭難状況を教師データとして日本語BERTのファインチューニングを行った。機械学習による分類結果に比べ、BERTは正解率が2%程度向上した。この結果から、大規模テキストデータによって事前学習したモデルが遭難時の被害状況推定タスクの精度向上に寄与する可能性を示した。